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良いヨウ素 悪いヨウ素 [小説]

■人物紹介
【山吹カナ(ヤマブキカナ)】某高校の化学部1年生。身長146cmのミニマムメガネっ子。ハカセと呼ぶものもいる。
【越後大貴(エチゴヒロキ)】化学部3年生。上級生のくせにカナを敬愛し、付き従う、見た目はさわやかなメガネM男。
【枇々野那奈(ヒビノナナ)】1年生。自他共に認める超絶美少女。カナの知り合い。
【阿久津瑠璃(アクツルリ)】1年生。グラマラスボディを持つ長身メガネ。ナナの友人。




 校舎の屋上。
 空には雲が低く立ち込めているが、雨の匂いはしない。
 一人の少女が立っていた。背は低い。制服の上からはおったぶかぶかの白衣が風にひるがえる。肩まで伸びたふかふかの髪と、スクエアのメガネ。
 山吹カナである。
 校舎や校庭内には複数の人の気配があるが、屋上にいるのはカナとその隣に立つ手足の長い男子生徒、越後だけだった。
 越後は細い棒を持った右手を空にかざしている。棒の下からはコードが延びており、左手に持つ機械に続いている。モニターに映し出される数値を読み上げるが、カナは聞いているのかどうか分からない表情で、空を見ているばかりだった。
「こんにちは、ハカセ」

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